1月 25, 2012 デパートメント・ストア 流通業 0

百貨店のJCペニーは、新CEOであるロン・ジョンソン氏の指揮下、アメリカ人の好みの百貨店となるための、4年間にわたる改革の計画を、今朝ニューヨークでの投資家とのコンフェレンスで発表した。スライド数252枚にわたる詳細なプレゼンテーションで、ジョンソン氏のビジョンに沿った今後の目標が述べられた。マーケティングで使われる4P(商品、価格、場所、販促)にパーソナリティーとプレゼンテーションを加えた6つのPに沿った戦略が造られている。先ず価格では、これまで商品の72%以上が50%以上の値引きで販売されてきた事実を踏まえて、3つの価格に統合される。フェア&スクウェア(公平で誠実な)価格と呼ばれ、毎日の通常価格、毎月のお値打ち価格、季節替わりの一掃価格(毎月第1第3金曜)に集約され、昨年10ドルの定価がつけられていた主力商品のタオルを例に取ると、通常価格が4ドル、月のお値打ち価格が2ドル、カーディガン例に取ると、2011年の定価が14ドル、2012年の2月からは通常価格が7ドル、月のお値打ち価格が5ドル、クリアランスが4ドルといった感じになる。この売価の変更に伴い、2011年には590回行われた何らかのセールを、月1回、年12回の販促に切り替え、それぞれの月のイベントなどを交えたマルチ・チャンネルでの販促が行われる。これによって、これまで年平均4回訪れていた顧客に、毎月来店してもらえば、3倍の販売機会となるわけである。新しくされたロゴは、周りのフレーム(スクウェア)が強調されており、色も12色用意されそのまま毎月の販促のグラフィックなどにも使われ、デザインを最重要視するアップルのやり方を踏襲している。また、同社のブランドのスポークスパーソンとして、パーソナリティーとして著名なエレン・デジェネレス氏の協力を得る。顧客サービスでは、返品のポリシーを、「どんな商品でも、何時でも、何処でも」に替える。販促は、毎月のテーマに沿ったものに集約され、2月は96ページのカタログを作り、今後毎月送付される。デジタル販促も同時に行われ、アイパッド、アイフォーン、アンドロイドなどのアプリを発表する。プレゼンテーションでは、店舗内店舗であるショップを増加させ、2月から2−3ショップずつ導入され、2015年までには100のショップにする。ブランドも現在400あるブランドを100のショップに統合していく。主なショップでは、アイゾッド、リズ・クレイボーン、ナネット・レポレ、マーサ・ステュアートなどが予定されており、順次追加される。店舗のレイアウトも変更され、レッドゾーンと呼ばれる商品を中心とした売場とファミリー・ルームと呼ばれるサービスを中心とした売場に分けられているアップル・ストアを見習い、店舗全体をショップの集まったメイン・ストリートにみたて、中心の一番人が集まりやすい場所には、タウンスクウェアと呼ばれる顧客が気軽に過ごせる場所が造られるが、詳細は発表されていない。買物の前後に楽しめる場所で、デジタル設備なども備えられるようである。これらの変革は2015年までに行われる予定だが、2月1日には先ず、新ロゴ、フェア&スクウェアの価格、毎月のお値打ち販促;春には新しくマーチャンダイジングされた商品;秋にはショップ毎の陳列;2013年にはタウン・スクウェア、2014年には新しい店舗デザイン;がそれぞれ導入される。明日は財務的な計画と質疑応答が行われるので、何か新しい内容があればレポートしてみたい。

ジョンソン氏はアップルでの成功をJCペニーで再現するため、シンプルさを全面に押し出し、顧客に対して整合性のあるお値打ちと買物経験を提供しようとしている。傍目には大きな変革であるが、細かい戦術は既存のJCペニーの人材を生かして構築されている。アップルも常に素晴らしい人材は沢山いたが、彼らを200%生かして素晴らしい商品を造り上げたのは、ジョブス氏のビジョンだった。ジョンソン氏がもし同じ事をJCペニーで出来れば、百貨店業界を大きくかえる触媒になるかも知れない。ただ、毎日の価格は、シアーズが90年代初めに導入した事があるが、成功しなかった。ショップ制にしても、元々の百貨店はショップの集まりである。違いは、顧客と市場の変化であり、これらの変革を遂行する人材である。時間とタイミングがエッセンスなのである。ビデオは新しい宣伝のひとつ。Enough is Enough