5月 29, 2011 娯楽レンタル・販売 流通業 0

電子書籍の普及にともない、デジタル・コンテンツのクラウド化が進みそうである。これまでデジタル音楽は、コンピューターにダウンロードされ、その後アイポッドなどの機器と共有することで聴かれてきた為、コンテンツ自体のバックアップは販売側にされておらず、コンピューターのクラッシュなどで失う可能性があった。一方電子書籍は、電子書籍リーダーに直接ダウンロードされるが、オリジナルはクラウド上に保存されており、何かの理由で消えた場合、簡単にダウンロードし直す事が可能である。この状況を変えようと、アマゾンやグーグルは音楽のクラウド・サービス導入をすすめている。このサービスによって、利用者は音楽をクラウド上の自分のロッカーに保存し、複数の音楽プレーヤーに直接ストリーミングしながら楽しむ事が出来て、オリジナルは無くす心配も無くなるのである。ただ、問題は、版権を持つ音楽会社などが、まだこれらのサービスを認めていないのである。ダウンロードの普及でCDの売上を著しく減少させたこれらの企業は、予測されるクラウド・サービスへの移行時に、利益確保を確実なものにしたいのである。この行き詰まり状況を打開する影響力を持つ、アップルが同様なサービスを近々始める。既に、大手レコード会社4社のうち3社との合意が間近いと云われており、6月にサンフランシスコで開かれるアップルのソフトウェアの開発会社が集まるコンベンションで、新しいサービスが発表されそうである。このサービスは、アップルのサーバーが、利用者のコンピューター上にある音楽のコレクションをスキャンし、それらの音楽をクラウドから複数のデジタル・プレーヤーにストリーミングする事で、何処でも音楽を楽しむ事が可能になり音楽ファイルを無くす心配もなくなる。しかし、このサービスは無料ではなく、利用者はネットフリックスの様な定額の利用料を支払う事になるようである。可能性としては、同社が既に年間99ドルで提供している、データー、電子メール、ウェブのお気に入りなどを複数の機器でシンクさせる、モバイルミー(MobileMe)のサービスに付加されるというものが高い。一方今年3月から始められたアマゾンのクラウド・ドライブと呼ばれるサービスは、利用者が自分のコレクションを実際にサーバーにアップロードしなければならなく、相当な時間がかかる。ただ、新しくアマゾンから購入されたMP3の音楽は、自動的にサーバーにバックアップされるが、このサービス追加によって、レコード会社に対する新たな版権料は支払われておらず、音楽会社の間で問題になっている。グーグルも、同様なサービスを行う為、1年以上前から音楽会社との交渉を始めており、音楽会社4社に1億ドルほどの版権料を支払う提案をしたと云われるが、まだまとまっていない。ひとつの理由は、グーグルの検索機能やビデオ・ライブラリーのユーチューブが、音楽の海賊版などを持つサイトを容認している為だそうである。グーグルは、ミュージック・ベータという名前のクラウドを実験開始しており、利用者は自分の所有する音楽を2万曲までアップロードし、プレイリストを作成して聴けるサービスを行っているが、音楽の販売は音楽会社の合意が無い為、始められていない。

アップル社のクラウド・サービスは、もし成功すれば、新しい音楽の購入方法を創造したアイチューンのサービスを、次の段階に引き上げて新しい標準になると思われ、グーグルやアマゾンの新しいサービスの導入も促進させる事になる。果たして、今回は、利用者の負担が増え音楽会社の収入を助けるようになるのか、それとも利用者の利便さが増え、音楽会社はさらに利益を圧迫されるようになるのか、アップルの出方によって左右されるようである。ブルームバーグ・ビジネスウィーク