7月 29, 2009 Uncategorized オンライン・リーテイラー ブック・ストア 流通業 1

書籍チェーンのバーンズ&ノーブルは、居心地の良いソファーや椅子、カフェに加えて、インターネットのワイアレス・アクセス(WIFI)を無料提供すると発表した。これまで、各携帯電話会社のアカウントを持っている人達はそのアカウントを使って無料、他の人達には2時間3ドル95セントで提供していたサービスを、全店で無料にする。これは、書籍の売上も景気に左右されており、学生の勉強の場所となっている、スターバックスなどに対抗しようという目論見である。加えて、同社は先週電子ブックの販売に名乗りを上げており、インターネット・リーテイラーであるアマゾン・ドット・コムに対抗している。今回のインターネット・ワイアレス無料アクセスは、この電子書籍販売も念頭においており、通常の書籍に加えて電子書籍の購入も、店舗でしてもらおうというものである。価格は競合相手と同じで、新刊のベストセラーを9ドル99セントで販売する。また2010年初めまでに、プラスチック・ロジック社と提携して、電子書籍リーダーも提供する予定である。グーグルで提供されている、既に著作権の切れている50万以上の書籍を含み、70万以上の書籍の購入が可能になる。この電子書籍は、アップル社のアイフォーン、アイポッド、ブラックベリー・スマートフォーン、マックとウィンドウズのコンピューターで読むことが出来るが、アマゾンのキンドルと、ソニーの電子書籍リーダーとは互換性がない。一方先行しているアマゾンは、約30万の電子書籍、ソニーは20万の電子書籍と50万の著作権切れのグーグルの電子書籍を提供している。WSJ

これら動きを見ていると、電子書籍販売がこの業界の将来を大きく左右する事が想像できる。アップル社は、アイチューンによって音楽の購入方法を変えてしまった。それまで使われてきたCDは過去の遺物となりつつある。また、価格体系も、アメリカでは一曲99セントが標準となり、ウォルマートが5年ほど前、一曲88セントのダウンロード販売をしたことがあったが、いつの間にか消えてしまった。ご存知の様に、MP3自体はアップルの発明ではなく、実際アップルはAACと呼ばれるフォーマットを使って違法コピーを防いでいる。アイチューンの成功は、アイポッドによるものと一般的に云われており、アマゾンのキンドルは、そのビジネス・モデルを真似、ハードとソフトを提供することでドミナントなプレイヤーに成ろうとしているのである。しかし、実際には、アイチューンの成功はそれだけが原因ではない。アイチューンによって手頃な価格の音楽を提供し、そして便利でスタイリッシュなアイポッドをハードとして提供することで相乗効果を上げたのである。実際アイポッド以外にも、MP3プレイヤーは数多くあるが、アイポッドのシェアは圧倒的である。発売当初はかなり高額だったアイポッドも、新しいモデルが出る度に値下げされ、現在では79ドルから有り、2001年終わりの発売当初の299ドルに比べると、約1/4になっている。アップルの販売戦略を整理すると、先ず音楽を99セントという手頃な価格で、ほぼコストで販売し、粗利の高いハードで利益をあげた。また、MP3との互換性を持たせず、購入された曲は、アイポッドの専用市場とした。人気が高まるにつれ在庫の曲を増やし、さらに市場を広げる。年1−2回の割合で新商品を次々とだし、相対的価格を下げていく事によって、売上をあげながら、圧倒的なシェアを維持する。音楽に加えて、テレビ番組、大ヒットの携帯ソフトであるアプリなどでレパートリーを広げ、またそれに対応した新しいアイポッド、アイポッド・タッチ、そしてアイフォーンなどを開発する。要するに顧客の消費動向を常に先取りしており、またそれらがほぼ的中してきたことが成功要因なのである。それでは、電子書跡はどうだろうか?アマゾンにしてもバーンズ&ノーブルにしても、パソコンやスマートフォーンでの利用は可能にしており、市場を狭めないようにヘッジはしている。今後インターネット抜きには、電子流通は考えられないので、グーグルなどとの協力も欠かせないだろう。コンピューターもクラウド・コンピューティング(インターネットをベースとしたソフトやデータベース)の時代が来ていると云われており、メディアもその方向に向かっている。それではハードを先に開発したアマゾンが有利かと云うと、そうでもないと思う。書籍を読む作業は、別にキンドルを持っていなくてもパソコンなどでできるし、他に使い道のすくないキンドルを持ち歩かなければならない不便さもある。近い将来には、小型のタブレット型のパソコンも普及するだろうし、折り曲げ自由な有機的なディスプレイも開発されるだろう。もし、キンドルが、ポケットに入るくらいの小型になり、ウェブ・アクセスや携帯など多機能なものに進化していけばドミナントなものになれるかもしれない。消費者のライフスタイルに合い、利便性を高め、そして相対的なお値打ちのあるものが最終的な勝者となるのである。状況を見守っていきたい。